わたしが勉強する理由

 わたしの人生から勉強をとったら何も残らないだろう。古い友人知人には「何かにつけて、勉強のことばかり話していた」と言われる。ガリ勉ではなかったし、学業成績は底辺をさまよっていた。ただ、金持ちにも有名人にも興味はなく、知識人になりたいと強く願っていた。

 息子に「勉強しなさい」と言ったことはない。むしろ勉強しなければならないのは自分だと思っていた。だから、必死で「学習に関すること」を勉強した。

 息子が巣立ってからは、興味のおもむくままに文学批評、英語、ドイツ語などを学んだが、経済的理由から今は司法書士試験を目ざしている。法律は難しく勉強はつらいけれど、「人生を変えたい」という思いで勉強に取り組んでいる仲間の存在に励まされている。