どん底だからこそ学ぶしかない

 2022年は世界でも国内でも悪いニュースばかりだった。私個人にも悲劇が襲った。最愛の息子から拒絶されたのだ。生まれて初めての失恋で、ストーカーの心理がちょっとだけわかった。胃がキリキリ痛んで3キロ痩せた。悩んだ末、息子に認めてもらうために私ができることは、勉強しかないと思った。

 7年ぶりの司法書士試験学習は、前より内容をイメージしやすくなった。例えばテキストに「非公開会社では取締役会の設置は任意である」と書いてあって、ピンと来なかったとする。スマホで「取締役会設置のメリット」とでも検索すれば、司法書士会やら会計事務所やら法律事務所やら起業コンサルタントやらの書いた記事が大量に出てくる。その中から参考になりそうなものをテキストにメモする。「取締役会を設置すると、業務執行は取締役会が担い、株主総会の権限が小さくなるため迅速な意思決定が可能になる。対外的信用を獲得できる。」などという具合に。

 そんな寄り道ばかりしてたら試験に間に合わないと言われそうだが、中高年は納得したことしか覚えられないのだから仕方がない。若ければ丸暗記できるのだろうけど。「司法書士試験や行政書士試験の合格者でも、取締役会設置会社と非設置会社の違いがよくわかっていない人は少なくない」と書いている実務家がいて、さもありなんと思った。