そばに誰かがいるだけではダメなんだと思う

秋葉原無差別殺傷事件の死刑囚が、「誰かがそばにいてくれたら、あんな事件は起こさなかった」と手記に書いていたらしい。

安倍元首相殺害事件の容疑者の高校時代の友人は、「自分が話を聞いてあげていれば」と悔やんでいるという。

ひとりの優しい人間の思いやりの気持ちが、凶悪犯罪を未然に防ぐというのは、ファンタジーだと思う。社会全体で考え、社会を変えなければ。

犯人は自分を救わなかった社会に対して、牙を向けたのだから。

永山則夫について書いた見田宗介の「まなざしの地獄」によれば、極寒の網走で親に捨てられ、中卒で上京した永山を追い詰めたのは、貧者は貧者のままでいろという社会の冷酷なまなざしだったという。

すべての犯罪は社会の中で起きる。

自己責任を強調するのは、問題が起きても、それは社会の責任ではありませんよといって、個人に責任を押し付けることだ。