民法が苦手。何がわからないのかも、よくわからない。

 ずっと民法(特に民法総則)がピンとこなかった。

 大学の講義は抽象的な話ばかりで、ちんぷんかんぷんだった。社会人になってから通った資格試験予備校の講師は「パン屋であんぱんを買う」とか「蕎麦屋でざるそばを注文する」という例を好んで使っていた。「わかりやすさ」を売りにした最近の市販テキストでも、主物と従物の例として「パソコンとキーボード」を挙げていた。卑近過ぎる例えは、かえって法律の理解を妨げると思う。

 こんなことを考える私は、ダメな受験生である。わかっちゃいるけど、批評はやめられない。

 家に近江幸治『民法講義I』があった。どういう経緯で買ったのかは覚えていない。めくってみると、興味深い記述があった。

 ローマ法では「人」(自己)を取り巻く外界に対するかかわり (法的関係)を、①「人」の「物」に対する〈支配〉関係と、②「人」の「人」に対する〈要求〉関係として分けてとらえていた。

 民法は最初に、「権利」の主体と客体に関する規定を置いているが、本来は、「権利・義務」の主体と客体とすべきところである。これは、わが国では法律関係を「権利」の側面から観ているためである(ドイツなどでは、法律関係を「義務」の側面から観ているため、義務中心の構成が採られている)。

 歴史から考えたり、比較したりするとおもしろい。合格は遠のくだろうけど。