「納得」をキーワードに司法書士試験の勉強に取り組む

 司法書士試験の学習を始めるにあたって、勉強の進め方を考えてみる。

 資格試験予備校の言説には「当社の教材を使いこなせば、必ず実力がつく」という前提がある。合格体験記はほぼ「ここの講義、教材はすばらしい。信じてついていけば、必ず合格できる」という内容で、隙間時間に見るとか、倍速で聴くとか、早めに過去問を解くなどの教材活用法が披露される。

 私の場合、過去に、予備校に通ったり、通信教材を使ったり、市販のテキストを読んだりしたが、ほとんど頭に入らなかった。講師は「よくわからない部分があっても、とりあえず先に進みましょう。深く考え過ぎるといつまでたっても合格できません。」と言う。しかし、よくわからない部分が積み重なって、途中で嫌になってしまう人は結構多いのではないか。少なくとも私はそうだった。

 勉強が身についていると実感できるのは、教材の量を消化したときでも、目標学習時間を達成したときでもない。学習した内容に納得できたときだと思う。納得できれば、前に学習したこととの繋がりが見えてきたりして、結果的に全体が見えるようになる。

 予備校の講師は「常に全体を視野に入れて学習しましょう」という。そのために「目次をコピーしておくこと」を勧める講師もいる。でも、予備校のテキストの書き方自体は、あまり全体を意識したものではない。

 例えば「契約の有効要件」について、予備校テキストは「契約は申し込みと承諾が合致すると成立する。その成立した契約が有効か、すなわち法的保護に値するか否かを契約の有効要件という。」と説明する。これだとなにかモヤモヤする。ところが『元法制局キャリアが教える 民法を読む技術・学ぶ技術』を読んだ時には、頭の霧が晴れた気がした。「契約の成立の捉え方として、①意思が合致すれば、契約は一応成立していると考える。②その上で契約が有効かどうかを考える。」と書いてあったからだ。

 「成年後見人・保佐人・補助人の保護者の権限」は、予備校テキストでは表に整理されているものの、内容がわからないので暗記するしかなかった。『民法を読む技術・学ぶ技術』に「法定代理人成年後見人のみ。保佐人・補助人の代理権はオプション」と書いてあるのを読んで、はじめて理解できた。

 結論。私は予備校の指導通りに勉強して出来るようになるタイプじゃない。自分なりに理解したことをノートにまとめながら進めていく。過去問には早めに取り組む。