どの家庭の戸棚にも骸骨がしまってある

 小学生高学年の時、両親が1週間ほど、旅行で家を空けることになった。綺麗好きな母親は、私に向かって「毎日、家の掃除をするように」と言いつけて出かけた。真面目な私は、4歳下の弟のために食事を作り、洗濯をして、きちんと掃除もした。

 旅行から帰るなり、母親は私に「ちゃんと掃除してたか」と聞いてきた。すると弟が「姉ちゃん1回も掃除しなかったよー」とふざけた口調で言った。母が「なんだと」と私を睨んだ。悔しくて涙が出た。母は「泣いてるよ、バカじゃないの」と言って私をけなした。弟がわらい、父は無言だった。

 

 あの家族の中で、私の努力は決して報われることがなかった。揶揄され、けなされ、ばかにされ、わらわれる。どう生きていけばいいのかわからなくて悩んだ。

 

 外からは幸せ家族に見えていたようだ。両親の仲がよく、お金に余裕があって、父と弟は美形で有名だったから。両親が不仲だったり、母子家庭の友人からは、羨ましがられた。私の本心は誰にも言えなかった。