雛人形は私にとって呪いの象徴だった

今週のお題「雛祭り」

六歳の時の雛祭りの写真がある。七段飾りの雛人形の前で、満面の笑みを浮かべる母と弟、そして浮かない顔の私が写っている。

デパートから雛人形が届いた時、箱を開けて部屋に飾る時「少しは嬉しそうな顔をしなさい」と母に責められた。「せっかくおばあちゃんが買ってくれたのに、なぜ素直に喜ばない」とも言われた。

遠くに住む祖母が私の入学祝いに送ってくれたお金を使い、母は独断で雛人形を買った。私は納得していなかったが、あの母に抗議できるほど強くなかった。もともと私は人形などに興味はなく、本が好きだった。雛人形の横にある私の学習机には、申し訳程度の児童書と図鑑しか写っていない。

当時は、小学校の入学手続きの日に、学研の「科学」と「学習」という雑誌の定期購読の申込みを受け付けていた。私は恐るおそる母に頼んでみたが、即座に却下された。

その時だけではない。母は常に私の望みを否定し、好きなものを取り上げ、私が欲しないものを押し付けてきた。                                                              「おまえに何が必要かはお母さんが一番よく知ってるの!お母さんの言う通りにしないと、とんでもないことになるからね!」という呪いの言葉とともに。

雛人形は今も私の家の納戸の奥深くに眠っている。