誰にとって「わかりやすい」のか

 コロナの少し前、新聞のテレビ欄には「わかりやすく」という言葉が溢れていた。今ではかなり少なくなって、一部のワイドショーに見られるくらいだが。私見では、池上さん人気が発端ではないかと思う。NHK「こどもニュース」でキャスターをされていた池上さんの「わかりやすい」解説が評判になったことから、番組制作側は、視聴者がわかりやすさを求めていると考えたのだろう。私はテレビ欄で番組チェックはするが、テレビをあまり見ないので、実際「わかりやすい」番組なのかどうなのかは知らない。

 それより勉強オタクの私にとって困るのは、「わかりやすさ」を謳う教材がそれほどわかりやすくないことだ。参考書だと、オールカラーとか、イラストとか、くだけ過ぎの文章とか。動画だと、ため口とか、あり得ない事例とか、面白くない小芝居とか。とっつき易いのかもしれないが、本質も本筋も全く見えず、時間を無駄にしてしまう。今は、膨大な数の教材があふれていて、簡単に手に入るけれど、本当に使えるものはそれほど多くない。