情報生産者になれない私たちは

 『情報生産者になってみたー上野千鶴子に極意を学ぶ』を読んで、教育者としての上野千鶴子の凄さの一端を知った。

 それにしても上野ゼミ卒業生の多くが、ゼミで先生や仲間に批評されたことを「辛かった」「へこんだ」と感じていたことに驚く。合評では、人格攻撃をしない、単なる印象批評はしない、というお約束があったはずで、鋭い批評は、研究内容をより良いものにするために必要なものだと思うけれど。

 今の若い人は、自分が批評されるのが嫌だというだけではなくて、自分の好きな小説、映画、音楽などの批評を目にしたくないというところまで来ているらしい。つまり、一切の批評を受け付けないという生き方だ。テレビでジャニーズタレントがJ-POPについて解説する番組でも、出演者全員が「すごい」「最高」「ここが素晴らしい」と絶賛のコメントしかしてなくて、つまらない。

 批評されることを避けて作った情報ってどうなの?