映画「Love Letter」のこと

中山美穂が亡くなってから、映画「Love Letter」のことをよく考える。ストーリーが込み入っていたので、細かい部分は忘れていた。それでも「お元気ですかー」と叫ぶシーンの映像と声は、瞬時によみがえる。

以前、カズオ・イシグロが記憶について「私が過去のことをはっきりとおぼえているとき、それは1枚の写真のように記憶している」と言っていた。映画の場合、印象的なシーンとセリフがあれば、記憶に残りやすいのかもしれない。よく考えたら、亡くなった人に「お元気ですか」っておかしいのだけれど。

純白の雪原で空を見上げる中山美穂の横顔は、哀しいほど美しく、幸せになってほしいと誰もが思っただろう。

この映画が韓国で人気があると知った時、韓国の人たちに親しみがわいた。国境とか関係ないし、時を経ても古びない。